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甲府地方裁判所 昭和52年(わ)189号 判決 1977年11月18日

本店所在地

山梨県西八代郡六郷町岩間二、一四七番地

山梨水晶有限会社

右代表者代表取締役

雨宮兼光

本籍

山梨県西八代郡六郷町岩間二、一四七番地

住居

同県同郡同町岩間九五九番地の一

会社役員

雨宮兼光

明治四五年五月一〇日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官高橋武三出席のうえ審理して次のとおり判決する。

主文

一、被告人山梨水晶有限会社を罰金一、〇〇〇万円に、被告人雨宮兼光を懲役一年に各処する。

二、被告人雨宮兼光に対し本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

三、訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人山梨水晶有限会社は、西八代郡六郷町岩間二、一四七番地に本店を置き、印章印判類の販売等の事業を営むもの、被告人雨宮兼光は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人雨宮兼光は、同会社の業務に関し、法人税を免れるため、いずれも売上の一部を除外し、架空仕入を計上するなどの行為により所得を秘匿した上、

第一  昭和四八年五月一日から同四九年四月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額が六七、四二二、五六二円でこれに対する法人税額が二四、四九三、九〇〇円であるのにかかわらず、同四九年六月二九日、南巨摩郡鰍沢町一、五〇二番地の一所在鰍沢税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九、八〇一、一三七円でこれに対する法人税額が三、三二〇、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税額二一、一七三、二〇〇円を免れ

第二  同四九年五月一日から同五〇年四月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額が九四、一八四、六一九円でこれに対する法人税額が三六、九三〇、三〇〇円であるのにかかわらず、同五〇年六月三〇日、前記鰍沢税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一六、二六二、〇三九円でこれに対する法人税額が五、七六五、一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税額三一、一六五、二〇〇円を免れ

第三  同五〇年五月一日から同五一年四月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額が六一、五二三、一九六円でこれに対する法人税額が二三、七五〇、〇〇〇円であるのにかかわらず、同五一年六月二八日、前記鰍沢税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一八、八一三、五〇〇円でこれに対する法人税額が六、六六八、一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の法人税額一七、〇八一、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人雨宮兼光の当公判廷における供述

一、被告人雨宮兼光の検察官に対する供述調書二通及び大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)一〇通

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書五通、脱税額計算書説明資料三通、報告書一通

一、雨宮兼光の検察官に対する供述調書二通及び大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)一〇通

一、深沢晴樹、渡辺巖、赤池次郎、土師政治、渡辺寛、望月義和、藤川延子、望月良江の大蔵事務官に対する各供述調書(質問てん末書)

一、大蔵事務官作成の売上除外額調査書、架空仕入調査書(二通)、架空通信費調査書(判示第二、第三)、架空目録費調査書(判示第三)、架空広告宣伝費調査書(判示第三)、架空旅費交通費調査書(判示第二)、架空交際費接待費調査書(判示第二)、架空保険料調査書(判示第二)、簿外受取利息割引料調査書(判示第二)、価格変動準備金調査書(判示第二)、簿外負担金調査書、未納事業税額調査書(二通)、(判示第一、第二)、期首商品棚卸高調査書(判示第二)、その他所得調査書、簿外現金調査書、簿外預金調査書、簿外有価証券調査書、簿外売掛金調査書、架空借入金調査書、簿外買掛金調査書、代表者貸付金調査書

一、雨宮兼彦(八通)、望月義和(四通)、渡辺巖、赤池一男、高井政則作成の各申述書

一、渡辺厳(六通)、寺田信男(二通)、斎藤伸(三通)、小林英夫、塩谷栄(二通)、斎藤光生、中村富治(二通)、小林清二、平賀岩雄、高橋修二、小林宏武、鈴木昭二郎、石原武各作成の証明書

一、深沢晴樹、中山靖彦、溝口隆敬各作成の上申書

一、斎藤房次郎、日置芳伸、渡辺撰治郎(一〇通)、石原武、小沢服蔵、神保正(二通)、千代田生命料金課長山田稔、日産火災海上保険、鳥山正二(三通)、高松俊二(二通)、中央信託銀行(四通義村貞次(八通)、小林大祐(四通)、樋上弘司(四通)、金子篤(四通)各作成の回答書

一、第一生命作成の明細書二通

一、雨宮兼光作成の契約書

一、大蔵事務官作成の法人税額計算書五通、公表売上の売掛金除外額調査書、修正申告等調査書

一、甲府地方法務局鰍沢支局登記官作成の登記簿謄本

一、押収してある法人税の確定申告書三袋(昭和五二年押第六九号の1ないし3)(順次判示第三ないし第一)、総勘定元帳四冊(同押号の4ないし7)、総勘定元帳一箱(同押号の8)、売上帳三綴(同押号の9ないし11)、修正仕訳一綴(同押号の12)、売上帳二袋(同押号の13、14)、領収書等一袋(同押号の15)、仕入帳三綴(同押号の16ないし18)、仕切書二袋(同押号の19、21)、現金出納簿一綴(同押号の20)、仕切書一冊(同押号の22)、納品書等一袋(同押号の23)、請求書等一袋(同押号の24)、メモ用紙一袋(同押号の25)、領収書一枚(同押号の26)、領収証等一袋(同押号の27)、領収証二枚(同押号の28)、メモ用紙一袋(同押号の29)、領収証三枚(同押号の303133)、メモ用紙一枚(同押号32)、証憑書綴一綴(同押号の34)

(法令の適用)

被告人山梨水晶有限会社の判示各所為は、法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項に、被告人雨宮兼光の判示各所為は、同法一五九条一項二項に各該当するが、被告人雨宮については所定刑中懲役刑を選択し、被告人両名の以上の各罪はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人山梨水晶有限会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で、被告人雨宮については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人山梨水晶有限会社を罰金一、〇〇〇万円に、被告人雨宮を懲役一年に各処し、被告人雨宮に対しては情状により同法二五条一項一号を適用して、本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名に連帯して負担させることとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 杉山修)

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